HubSpot チーム管理マニュアル:メインチームと追加チームの完全活用ガイド
HubSpotで組織を管理する際、最も重要なのが「どのユーザーをどのチームの『メイン』にするか」という設計です。
この設定一つで、レコードの閲覧権限だけでなく、レポートの集計精度や自動化ワークフローの挙動が大きく変わります。
本記事では、メインチームと追加チームの違い、そして親子階層による制御の仕組みを詳しく解説します。
組織運営で直面する「チーム管理」の課題
組織が拡大し、兼務者や階層構造(本部・部・課)が発生すると、以下のような問題が起こりやすくなります。
- レポートの重複や漏れ
兼務者がどちらのチームとして成果をカウントされているか不明確で、数字の整合性が取れない
- 情報の過不足
マネージャーが部下のデータを見られない、あるいは現場のメンバーに関係のない通知が大量に届く
- 表示のノイズ
チームごとに最適化されたはずのレコード画面(ビュー)が、兼務している別チームの形式で表示されて使いにくい
これらの問題は、HubSpotのチーム仕様を正しく理解し、設定に反映させることで解消できます。
【詳細解説】メインチームと追加チームの決定的な違い
HubSpotでは、1人のユーザーに対して1つの「メインチーム(プライマリーチーム)」と、複数の「追加チーム」を設定可能です。
両者には、システム上の役割に明確な差があります。
① レコード詳細画面の表示とビューの適用
- メインチーム
ユーザーのメインチームに基づいて、そのユーザーに表示される「チーム用カスタムレコードビュー」が決定します。
- 追加チーム
追加チームとして所属しているだけでは、そのチーム用のカスタムビューは適用されません。また、詳細画面のレコード表示においても、追加メンバーは表示対象外となります。
② 「HubSpotチーム」プロパティの自動入力
- レコード(コンタクトや取引など)が作成された際、その担当者(所有者)のメインチームが「HubSpotチーム」プロパティに自動的に割り当てられます。
- この自動入力機能により、「どのレコードがどのチームに属しているか」が定義されます。追加チームの情報は、ここには反映されません。
③ レポート・ダッシュボードの集計ロジック
- HubSpotのレポートでチーム別集計を行う際、基本のキーとなるのは「レコードのチーム(
hubspot_team_id)」です。これは担当者のメインチームと連動しています。
- メインチーム
そのユーザーの成果(取引件数・売上など)は、メインチームの数字として正確にカウントされます。
- 追加チーム
チームレポートの集計対象からは原則として「除外」されます。これにより、兼務者がいても数字のダブルカウントを防ぐことができます。
④ チーム通知と@メンションの宛先
- ワークフローによる「ユーザーおよびチームに通知」や、コメント欄での「チーム宛の@メンション」において、通知を受け取るのはメインチームのメンバーのみです。
- 追加チームのメンバーには、チーム宛の通知は届きません(フォーム通知などの例外を除く)。情報のノイズを減らし、必要な人にだけ通知を届ける仕組みです。
⑤ ワークフローの所有者ローテーション
- ワークフローのアクションで「レコードをチームにローテーション(割り当て)」を行う際、候補に入るのはそのチームのメインチームメンバーだけです。
- 追加チームのメンバーは、この自動割り当ての候補から外れます。
3. 親チーム・子チームの階層構造による制御
チームを階層化(親子設定)することで、データの閲覧範囲と分析の粒度をコントロールできます。
階層化によるアクセス権限の原則
- 親は子を見られる、子は親を見られない: 親チームのメンバーは、その配下にネスト(階層化)された子チームが担当するレコードも「チーム権限」で閲覧できます。しかし、子チームのメンバーから親チームのレコードを見ることはできません。
親チームと子チーム、どちらを「メイン」にするかの判断基準
| 設定パターン |
レポート・分析への影響 |
運用のメリット |
| 親チームをメインにする |
そのユーザーの成果は「親チーム」全体としてカウントされます。 |
子チームごとの細かいパフォーマンス比較を必要としない、統括的な管理に適しています。 |
| 子チームをメインにする |
成果が「子チーム」単位で集計可能になります。親チームのレポートでは「親+配下の子チームの合計」として確認できます。 |
チームごとの差を切り分けやすく、親チーム側で全体の合算値も把握できるため、最も推奨される設定です。 |
4. チーム種別ごとの挙動比較表
以下の表は、ユーザーがどのような立場でチームに所属しているかによる挙動の違いをまとめたものです。
| 項目 |
親チームの メインメンバー |
子チームの メインメンバー |
親チームの 追加メンバー |
子チームの 追加メンバー |
詳細画面 レコード表示 |
表示される |
表示される |
表示されない |
表示されない |
レコード アクセス権限 |
可能(自チーム+子チーム分) |
可能(自ユニット分のみ) |
可能(自チーム+子チーム分) |
可能(自ユニット分のみ) |
| チームレポート集計 |
対象 |
対象(親にも反映) |
除外 |
除外 |
チーム通知 (メンション等) |
受信する |
受信する |
受信しない |
受信しない |
ワークフロー ローテーション |
対象 |
対象 |
除外 |
除外 |
5. 具体的な5つの設定手順
ステップ1:チームの作成と階層化
- HubSpot画面右上の 「設定(歯車アイコン)」 をクリックする
- 左側メニューの「ユーザー管理」内にある 「ユーザーとチーム」 をクリックする
- 中央のタブから 「チーム」 を選択し、「チームを作成」 をクリックする
- チーム名を入力し、必要に応じて 「このチームを別のチームの下に配置」 にチェックを入れ、親チームを選択する
ステップ2:メンバーの役割指定
- 所属させるユーザーを選択する
- 各ユーザーに対し、このチームを 「メイン」 にするか、「追加チーム」 にするかを選択する
※判断のコツ: そのユーザーの「主戦場」であり、売上を集計すべきチームをメインに設定してください
- 「保存」をクリックして設定を完了します。
まとめ:正しいチーム設計が運用の質を決める
HubSpotのチーム機能は、単なるグループ分けではなく、「権限・集計・自動化」を制御するエンジンの役割を果たします。
- メインメンバーは、そのチームの「当事者」として数字を持ち、通知を受け、自動割り当ての対象になります。
- 追加メンバーは、権限(閲覧)のみを付与された「サポーター」としての立ち位置になります。
この違いを念頭に置いてチーム構成を最適化することで、情報の機密性を保ちながら、各メンバーが自分の業務に集中できる、ノイズのない環境を構築しましょう。