SaaSや保守、リースといったサブスクリプション型のビジネスモデルを運営していると、営業会議で必ずと言っていいほど直面する問いがあります。
「今月の受注件数は素晴らしい。……で、解約を含めた『純増』は何件なんだ?」
新規受注を追うことは営業チームの活気につながりますが、経営の健全性を測るには、裏側で発生している解約を差し引いた実数が欠かせません。
しかし、HubSpotの標準的なレポート機能を使っていると、意外な壁にぶつかります。
「受注レポート」と「解約レポート」を別々に作ることはできても、それらを一つの指標として合算(受注1 - 解約1 = 0)し、さらに「純増目標」として管理する設定がデフォルトでは用意されていないのです。
その結果、スプレッドシートにデータをエクスポートして加工したり、複数のレポートを行ったり来たりしながら頭の中で計算したり……といった、非生産的な作業が発生していないでしょうか。
もし、特別な外部ツールを使わずに、HubSpotだけで以下の状態が作れるとしたらどうでしょう。
これが実現すると、営業・カスタマーサクセス・経営陣が同じ「純増」という数字を共通言語にできるようになります。
今回は、HubSpotの「カスタムプロパティ」「ワークフロー」「目標(ゴール)」機能を組み合わせた、現場で即導入できる構築手順を詳しく解説します。
ここからは、具体的なシステム構成に入ります。
設定は大きく分けて5つのステップで進行します。
ステップ1:純増計算用の「カスタムプロパティ」を2つ作成する
ステップ2:「ワークフロー」で数値と日付を自動入力させる
ステップ3:「カスタム目標」を定義する
ステップ4:目標値(ターゲット)と対象期間を割り当てる
ステップ5:目標をレポート化する
まずは、裏側で計算と集計を行うための「数値の箱」と「日付の箱」を用意します。
| プロパティ名 | フィールドタイプ | 役割 |
| 純増カウント用 | 数値 | 受注なら「1」、解約なら「-1」を格納する場所 |
| 純増実績日 | 日付選択 | 目標期間(○月分など)を判定するための日付 |
注意点: 「純増カウント用」は、後ほど合計値を算出するため、必ず数値形式で作成してください。
営業担当者が手入力する手間を省くため、取引のステータスが変わった瞬間に自動で値が入る仕組みを作ります。
1 を入力-1 を入力設定後、ワークフローをオンにします。過去のデータも集計に含めたい場合は、保存時に「既存のレコードも登録する」を選択してください。
次に、ステップ2で付与された「+1」と「-1」を足し合わせる計算ルールを作ります。
これで、目標画面に「実績(受注マイナス解約) / 目標」の進捗バーが表示されるようになります。
最後に、推移を視覚化してダッシュボードでいつでも確認できるようにします。
これにより、「先月は受注が多かったが解約も多く、純増としては伸び悩んだ」「今月は解約が抑えられているため、受注数以上のインパクトが出ている」といった傾向が一目で把握できるようになります。
現場の入力負荷を上げず、HubSpotにあるデータだけで「攻め(受注)」と「守り(解約)」の両面を管理する。この体制構築が、持続可能な事業成長の第一歩となります。
是非、皆さんもこの記事を参考に「今月何件増えたの?」を可視化してみてください。