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「マーケティングコンタクト」の適切な運用~コストを抑える自動&定期メンテナンス~

作成者: 岩田 早織|Mar 29, 2026 5:44:40 AM

HubSpotの「マーケティングコンタクト」は、メール配信などのマーケティング施策の対象となるコンタクトを指します。しかし、何もしないまま運用を続けると、配信対象外のコンタクトが上限数を超えてしまい、意図しない追加課金が発生するリスクがあります。

本記事では、コストを最適化するために不可欠なマーケティングコンタクトのメンテナンス方法や一部自動化について、具体的な設定手順を解説します。

マーケティングコンタクトはどんな時に増える?

HubSpotでは、以下の操作や設定により、マーケティングコンタクトとして登録されます。

中には自動的に追加される方法もあり、気づかないうちにマーケティングコンタクトの登録数が増加してしまうケースがあるため、どのような場面でマーケティングコンタクトが増えるのかを把握して、意図しない超過を防ぎましょう。

手動・インポートによる追加

コンタクトの手動作成

コンタクトオブジェクトの「新規作成」から作成フォームを開き、「これらのコンタクトをマーケティングコンタクトに設定」にチェックを入れる。

インポート

インポートの最終確認ステップで「これらのコンタクトをマーケティングコンタクトに設定」にチェックを入れる。

既存コンタクトの一括変更

コンタクトビューやリストでコンタクトを選択し、「マーケティングコンタクトに設定」ボタンから設定。


フォーム送信による追加

HubSpotで作成したフォームの送信(HubSpotフォーム)

該当のフォーム編集画面で「新規コンタクトをマーケティングコンタクトに設定」の設定をオンにすると、フォーム送信したコンタクトが自動的にマーケティングコンタクトに追加される。

HubSpot以外で作成したフォームの送信(HubSpot以外のフォーム)

設定画面内を「マーケティング」 > 「フォーム」 > 「HubSpot以外のフォーム」と進み、「HubSpot以外のフォームからのコンタクトをマーケティングコンタクトに設定」の設定をオンにすると、トラッキングコード埋め込み済みのページ内のフォームを送信したコンタクトが自動的にマーケティングコンタクトに設定される。

 自動化(ワークフロー) による追加

ワークフローのアクション

「マーケティングコンタクトのステータスを設定」アクションを使用して、特定の条件(例:特定の資料請求があった、特定のページを見た)を満たした瞬間に自動的に追加する。

 

 直面しがちな課題:増え続けるコンタクトとコストの増大

HubSpotを運用していると、以下のような状況に陥ることがよくあります。

  • 上限ギリギリの通知: マーケティングコンタクト数が契約上限に近づき、いつ追加課金が発生するか不安。
  • 手動更新の限界: 配信停止(オプトアウト)したユーザーや、長期間反応がないユーザーを、毎回手動で対象外にするのが手間。
  • 無駄なコスト: 実際にはメールを送っていない、あるいは送れない相手に対しても課金対象としてカウントされている。

これらは、コンタクトのステータス管理を自動化できていないことが主な原因です。

 実現イメージ:自動クレンジングによるコストの最適化 

適切なメンテナンス設定を行うことで、HubSpot内は常に「生きたリスト」だけに整理されます。

  • 段階的な通知:
    マーケティングコンタクト数の増加に伴って段階的に通知することで、余裕を持ってメンテナンスや契約プランのアップグレードに関する検討を実施することができるようになります。
  • 自動的な対象外設定: 配信停止やバウンス(不達)の発生、配信条件を満たさなくなった場合に、自動でマーケティング対象外へ切り替えることで、本当に必要なコンタクトのみをマーケティングコンタクトに設定しておくことが可能になります。
  • コストの抑制: 必要なコンタクトだけに絞り込まれるため、契約プランのアップグレードを遅らせ、無駄な支出を抑えられます。

設定方法①:段階的な通知

マーケティングコンタクト数の状況を段階的に通知するための、~~~つのステップを解説します。

ステップ1:マーケティングコンタクト集計用レコードを作成

一定の条件を満たすコンタクトレコードの総数を集計するためには、該当のレコードを「集計用レコード」に関連付けて、ロールアップ形式のプロパティーを使用する必要があります。

■標準オブジェクトを使用する場合
※Enterpriseプランを導入していない、かつ使用していない標準オブジェクトがある場合

  1. [データ管理] > [データモデル] に移動し、[データモデルを編集] をクリックします。

  2. 有効化されていないオブジェクトのカードで[オブジェクトを有効化]をクリックします。

  3. […] > [関連付けられているすべてのオブジェクトを表示]をクリックします。

  4. [+]をクリックし、コンタクトとの関連付けを許可します。

  5. 該当オブジェクト内に「マーケティングコンタクト集計用」という名前のレコードを1つだけ作成します。

  6. カスタムプロパティで「マーケティングコンタクトステータス」という単行テキストのプロパティーを作成し、「マーケティングコンタクト」と値を記載します。

■カスタムオブジェクトを使用する場合
※Enterpriseプランを導入している場合

  1. [設定] > [データ管理] > [オブジェクト] > [カスタムオブジェクト] に移動します。

  2. [カスタムオブジェクトを作成]をクリックします。

  3. 下記の必須項目を入力し、[作成]ボタンをクリックしてカスタムオブジェクトを作成します。

    • オブジェクト名(単数形)

    • オブジェクト名(複数形)
      ※日本語の場合単数形と複数形を同文字列で作成可

    • 内部名
      ※小文字のアルファベット、0~9の半角数字、「_」のみ使用可

    • プライマリー表示プロパティー
      ※入力必須のレコード名を入力するためのプロパティー
       例:
        ・コンタクトオブジェクト:姓
        ・会社オブジェクト:会社

    • プロパティータイプ
      ※プライマリー表示プロパティーのフィールドタイプ
       通常は単行テキストを指定

  4. データモデルからコンタクトとの関連付けを許可します。
    ※標準オブジェクトを使用する場合の手順を参照

  5. 該当オブジェクト内に「マーケティングコンタクト集計用」という名前のレコードを1つだけ作成します。

  6. カスタムプロパティで「マーケティングコンタクトステータス」という単行テキストのプロパティーを作成し、「マーケティングコンタクト」と値を記載します。

ステップ2:ロールアップ形式のプロパティの作成 

 作成した集計用レコードに、現在のマーケティングコンタクト数を自動計算させます。 

  1. [設定] > [データ管理] > [プロパティー]と進み、該当オブジェクトのプロパティー編集画面を開きます。

  2. [プロパティーを作成]ボタンをクリックし、[プロパティーラベル]、[内部値]に任意の文字列を設定します。

  3. [フィールドタイプ]で[ロールアップ]を選択し、下記の条件を設定します。

    • ロールアップタイプ:カウント

    • 数値の書式:書式付きの数値(デフォルト)

    • 関連レコードタイプを選択:コンタクト

    • 関連レコードのプロパティーを選択:マーケティング コンタクト ステータス
      ※コンタクトのレコードで必ず入力されている値であればどれでも可
      集計に使用するプロパティーで設定するのがわかりやすい

    • 条件:マーケティング コンタクト ステータスが次の値と等しい:マーケティングコンタクト

  4. [プロパティーを作成]をクリックして完了。

ステップ3:マーケティングコンタクトを集計用レコードに関連付ける

コンタクトのマーケティングコンタクトステータスが「マーケティングコンタクト」になったら自動的に該当の集計用レコードに関連付けるワークフローを作成します。

  1. [自動化] > [ワークフロー] に移動し、一から作成します。

  2. 登録トリガー:コンタクトのマーケティングコンタクトステータスが「マーケティングコンタクト」であることをトリガーに設定します。

  3. アクションの追加: 「関連付けを作成」を選択します。

  4. アクションの詳細設定: 下記の内容で設定します。

    • 登録されたオブジェクト:コンタクト

    • 関連付けるオブジェクト:ステップ1で有効化したオブジェクト

    • ラベルを適用せずに関連付けのみを作成にチェック

    • 次のものがある場合に関連付けを作成:一致するプロパティー値

    • 登録されるオブジェクトのプロパティーを選択:マーケティングコンタクトステータス

    • 一致先のプロパティーを選択:マーケティングコンタクトステータス 

  5. ワークフローを公開します。

ステップ4:自動で通知するワークフローの構築

ステップ2で作成したロールアップ形式のプロパティーが任意の値に到達したら通知を送信するワークフローを作成します。

  1. [自動化] > [ワークフロー] に移動し、一から作成します。

  2. 登録トリガー:ステップ2で作成したロールアップ形式のプロパティーが任意の値以上であることをトリガーに設定します。

  3. アクションの追加: 「内部Eメール通知」や「Slack通知」等の通知アクションを選択し、送信先・通知文章を設定します。

  4. ワークフローを公開します。

 設定方法②:ワークフローとリストを活用した、マーケティングコンタクト自動化 

マーケティングコンタクトを適切に管理するための、3つのステップを解説します。

ステップ1:対象外にする条件(リスト)の作成

まず、「どのようなコンタクトを対象外にするか」を定義したリストを作成します。

  1. [コンタクト] > [リスト] に移動し、[リストを作成] をクリックします。

  2. 「動的リスト」を選択し、以下の条件(フィルター)を追加します。

    • 配信停止済み: 「すべてのメールの配信を停止済み」が「True」

    • ハードバウンス: 「Eメールのハードバウンス理由」が「既知」

    • 長期間の非アクティブ: 「最後に開封したEメールの日付」が「180日前より前」(※期間は任意)
      ※上記に加え、メルマガ配信対象となる条件を明確にセグメンテーションしている場合は、その条件を満たさなくなったこともフィルターとして追加するほうが正しく除外を実施することが可能です。

  3. このリストに名前(例:【自動管理】マーケティング対象外候補)を付けて保存します。

ステップ2:ステータス更新ワークフローの構築

リストに入ったコンタクトのステータスを自動で変更します。

  1. [自動化] > [ワークフロー] に移動し、一から作成します。

  2. 登録トリガー: ステップ1で作成したリストへの加入をトリガーに設定します。

  3. アクションの追加: 「マーケティングコンタクトのステータスを設定」を選択します。

  4. ステータスの選択: 「マーケティング対象外コンタクトに設定」を選択します。

  5. ワークフローを公開します。

ステップ3:翌月からの適用を確認

HubSpotの仕様上、マーケティング対象外への変更は即時ではなく、翌月1日に反映されます。

  • ステータスを「対象外」に変更しても、その月の課金対象からはすぐには消えません。

  •  定期的に「マーケティングコンタクトステータス」プロパティと 「次回更新までのマーケティングコンタクト」プロパティーを確認し、次回の更新タイミングで上限に余裕ができるかチェックしてください

 

まとめ

HubSpotのマーケティングコンタクト管理は、一度仕組みを作ってしまえば、あとはシステムが自動でコストを守ってくれます。まずは、配信停止やエラーになったコンタクトを放置せず、自動で除外する設定から始めてみてください。