Deep Knowledge(DeepThrive)

もう迷わない!HubSpotカスタムオブジェクトの判断基準と、検索性を高める「2つのプロパティ」設定術

作成者: 勝間田 雄大|Oct 1, 2026, 8:41:28 AM

HubSpotを運用する中で、「標準の機能だけでは自社のデータを管理しきれない」「新しいデータ管理の枠組みを作りたいけれど、いつカスタムオブジェクトを使うべきかわからない」とお悩みではありませんか?

カスタムオブジェクトは柔軟なデータ管理を可能にする強力な機能ですが、使いどころを間違えるとデータベースが複雑化してしまいます。また、作成時のプロパティ設定を怠ると、後からデータを検索・特定するのに苦労することになります。

本記事では、カスタムオブジェクトの基本から、導入を判断するための明確な基準、そして検索性を高めて現場の作業効率を上げる「プロパティ設定」までを分かりやすく解説します。

1. カスタムオブジェクトとは?

HubSpotには最初から「コンタクト(個人顧客)」「会社」「取引」「チケット(問合せ)」という標準的なデータの枠組み(標準オブジェクト)が用意されています。

しかし、企業のビジネスモデルによっては、これら4つの枠組みだけでは管理しきれないデータが存在します。

  • サブスクリプション事業: 顧客ごとの「契約情報」や「ライセンス」
  • 不動産業: 取り扱っている「物件情報」
  • 製造・BtoB事業: 納品済みの「所有機器・シリアル番号」
  • 教育・サービス業: 受講生の「講座・受講履歴」

カスタムオブジェクトとは、こうした「自社独自のデータ管理枠(専用のデータベース)」をHubSpot内に新しく作成できる機能です。標準オブジェクトと同じように、プロパティ(入力項目)を自由に追加したり、レポートを作成したり、ワークフローによる自動化を行ったりすることができます。

2. カスタムオブジェクトを使用するべき基準(1対Nの関係)

「新しく管理したいデータが出てきたら、すべてカスタムオブジェクトで作るべきか?」というと、そうではありません。

作成を判断する最大の基準は、データ同士が「1対N(1対多)」の関係になっているかどうかです。

※「1対N(1対多)」とは?

1つのデータ(例:1人の顧客)に対して、関連する別のデータ(例:契約や物件)が「複数(N個)」存在し、それぞれを独立して管理・更新したい状態のことです。


判断のバウンダリー:カスタムプロパティ vs カスタムオブジェクト

データを追加したいとき、手法は大きく分けて「既存オブジェクトの中に項目(カスタムプロパティ)を追加する」か、「新しくカスタムオブジェクトを作る」かの2通りがあります。

以下は、その判断基準をまとめた一覧表です。

管理したいデータの性質 推奨する手法 具体例
1対1の関係
(顧客1人につき、常に1つしか存在しない情報)
カスタムプロパティ
(項目の追加)
・生年月日

・担当営業名

・初回問い合わせ日
1対Nの関係
(顧客1人に対して、複数存在したり、履歴として残したい情報)
カスタムオブジェクト
(新しいデータ枠の作成)
・1人の顧客が結んでいる「複数の契約」

・1人の顧客が所有する「複数の物件」

・1人の顧客から受けた「過去複数の点検履歴」


「1対N」のデータをカスタムプロパティで管理しようとするとどうなるか?

たとえば、1人の顧客が複数の契約を結ぶビジネスで、コンタクトのメモ欄やプロパティ(例:「契約内容1」「契約内容2」など)に無理やりデータを詰め込もうとすると、以下のような問題が生じます。

  • 新しい契約が増えるたびに入力欄が足りなくなり、古いデータが上書きされて消えてしまう。
  • 「特定の契約プラン」を契約している顧客だけを抽出してメールを配信する、といったリスト作成や自動化が困難になる。

1人の顧客に対して複数のデータが紐づき、それぞれのデータに固有のステータスや日付を持たせたい場合は、迷わずカスタムオブジェクトを選択しましょう。

 

3. プライマリーとセカンダリーについて(インデックス検索)

カスタムオブジェクトを作成する際、最も慎重に設計すべきなのが「プライマリープロパティ」と「セカンダリープロパティ」です。

この2つは、HubSpot内でデータを素早く探し出す「インデックス検索」において、決定的な役割を果たします。

※インデックス検索の例)セカンダリープロパティ【テストセカンダリ】の値をインデックスバーから直接検索している。

  

① プライマリープロパティ(必須)

レコード(データ1件)を特定するための「主キー(タイトル)」です。インデックス検索において最優先で参照されます。

  • 役割: 標準機能における「会社名」や「コンタクトの氏名」に該当します。
  • 設定例: 「契約ID(例:CT-1001)」「物件名」「機器シリアル番号」など。
  • ないとどうなるか: オブジェクト自体が作成できません。 また、適当な項目をプロパティに選んでしまうと、検索結果の一覧に「無題」のような名称が並び、どのデータなのか判別不能になります。
  • あるとどうなるか: 検索窓にキーワードを入力した際、一意のデータとして正確に検索結果へヒットさせることができます。

② セカンダリープロパティ(任意・最大2つまで)

プライマリープロパティのすぐ下に並んで表示される「補足の識別情報」です。

  • 役割: インデックス検索でヒットしたデータが「本当に目的のデータかどうか」を現場がその場で判断するための材料になります。
  • 設定例:
    • ステータス・区分(例:「有効/解約」「検討中/契約済」)
    • 日付情報(例:「契約終了日」「次回更新日」)
  • ないとどうなるか: 検索結果や関連付けカードにタイトル(プライマリープロパティ)しか表示されません。同名のデータが存在する場合や、状態を確認したい場合、毎回データ(カード)をクリックして詳細画面を開かないと中身が分からないという手間が発生します。
  • あるとどうなるか: 画面を切り替えることなく、検索結果のカード上で「有効な契約か」「いつまでの期限か」を瞬時に確認できます。誤ったデータを選択して紐づけてしまうミスも防げます。

4. プロパティを正しく組み込む設定ステップ

実際にカスタムオブジェクトを作成し、インデックス検索に強いプロパティを設定する手順を解説します。

※事前確認: カスタムオブジェクトの作成機能は、HubSpotのEnterpriseプラン、または特定の製品組み合わせでご利用いただけます。

 

ステップ1:検索キーとなるプロパティを選定する

作成前に、手元で以下の3つを決定しておきます。

  • プライマリー項目: 一意に識別できる項目(例:契約ID)
  • セカンダリー項目1: パッと見で知りたい状態(例:契約ステータス)
  • セカンダリー項目2: パッと見で知りたい期限(例:契約満了日)

ステップ2:作成画面を開く

  1. HubSpot画面右上の 設定アイコン(歯車マーク) をクリックします。
  2. 左メニューの 「データ管理」>「オブジェクト」>「カスタムオブジェクト」 を選択します。
  3. 右上の 「カスタムオブジェクトを作成」 をクリックします。

ステップ3:基本情報とプライマリープロパティを入力する

  1. オブジェクトの識別名(単数形・複数形)を入力します(例:契約 / 契約一覧)。
  2. 「プライマリー表示プロパティ」 の項目に、事前に決めたタイトル名(例:契約ID)を入力します。
  3. プロパティのタイプ(1行テキスト、または自動で番号を割り振る「自動採番」など)を指定します。

ステップ4:セカンダリープロパティを指定する

  1. 同画面内にある 「セカンダリー表示プロパティ」 の入力欄をクリックします。
  2. ドロップダウンから、カードに補足表示させたい項目(例:契約ステータス)を選択します。
  3. 「+ プロパティを追加」 をクリックし、2つ目の補足項目(例:契約満了日)を選択します。
  4. 設定を確認し、「作成」 をクリックします。



ステップ5:関連付けを行い、検索性を確認する

  1. 設定画面の「関連付け」タブから、コンタクトや会社などの標準オブジェクトと紐付けを設定します。
  2. 実際の顧客画面を開き、右側のカードに「プライマリー」と「セカンダリー」が正しく並んで表示され、クリックなしで状況が把握できるか確認します





まとめ

HubSpotのカスタムオブジェクトは、自社独自のデータを管理するための非常に便利な枠組みです。導入を検討する際は、まずデータが「1対Nの関係にあるか」を確認しましょう。

そして、作成時には「インデックス検索での見やすさ」を意識して、プライマリープロパティとセカンダリープロパティを正しく設計することが成功のポイントです。

  • プライマリープロパティ: データを一意に特定する「主キー」を設定する
  • セカンダリープロパティ: 詳細を開かなくても状況がわかる「補足情報(状態や日付)」を設定する

この設計ルールを押さえることで、データの乱雑化を防ぎ、現場のメンバーが迷わずスピーディーに活用できるデータベースを構築できます。