HubSpotを運用する中で、「標準の機能だけでは自社のデータを管理しきれない」「新しいデータ管理の枠組みを作りたいけれど、いつカスタムオブジェクトを使うべきかわからない」とお悩みではありませんか?
カスタムオブジェクトは柔軟なデータ管理を可能にする強力な機能ですが、使いどころを間違えるとデータベースが複雑化してしまいます。また、作成時のプロパティ設定を怠ると、後からデータを検索・特定するのに苦労することになります。
本記事では、カスタムオブジェクトの基本から、導入を判断するための明確な基準、そして検索性を高めて現場の作業効率を上げる「プロパティ設定」までを分かりやすく解説します。
HubSpotには最初から「コンタクト(個人顧客)」「会社」「取引」「チケット(問合せ)」という標準的なデータの枠組み(標準オブジェクト)が用意されています。
しかし、企業のビジネスモデルによっては、これら4つの枠組みだけでは管理しきれないデータが存在します。
カスタムオブジェクトとは、こうした「自社独自のデータ管理枠(専用のデータベース)」をHubSpot内に新しく作成できる機能です。標準オブジェクトと同じように、プロパティ(入力項目)を自由に追加したり、レポートを作成したり、ワークフローによる自動化を行ったりすることができます。
「新しく管理したいデータが出てきたら、すべてカスタムオブジェクトで作るべきか?」というと、そうではありません。
作成を判断する最大の基準は、データ同士が「1対N(1対多)」の関係になっているかどうかです。
※「1対N(1対多)」とは?
1つのデータ(例:1人の顧客)に対して、関連する別のデータ(例:契約や物件)が「複数(N個)」存在し、それぞれを独立して管理・更新したい状態のことです。
データを追加したいとき、手法は大きく分けて「既存オブジェクトの中に項目(カスタムプロパティ)を追加する」か、「新しくカスタムオブジェクトを作る」かの2通りがあります。
以下は、その判断基準をまとめた一覧表です。
| 管理したいデータの性質 | 推奨する手法 | 具体例 |
| 1対1の関係 (顧客1人につき、常に1つしか存在しない情報) |
カスタムプロパティ (項目の追加) |
・生年月日 ・担当営業名 ・初回問い合わせ日 |
| 1対Nの関係 (顧客1人に対して、複数存在したり、履歴として残したい情報) |
カスタムオブジェクト (新しいデータ枠の作成) |
・1人の顧客が結んでいる「複数の契約」 ・1人の顧客が所有する「複数の物件」 ・1人の顧客から受けた「過去複数の点検履歴」 |
たとえば、1人の顧客が複数の契約を結ぶビジネスで、コンタクトのメモ欄やプロパティ(例:「契約内容1」「契約内容2」など)に無理やりデータを詰め込もうとすると、以下のような問題が生じます。
1人の顧客に対して複数のデータが紐づき、それぞれのデータに固有のステータスや日付を持たせたい場合は、迷わずカスタムオブジェクトを選択しましょう。
カスタムオブジェクトを作成する際、最も慎重に設計すべきなのが「プライマリープロパティ」と「セカンダリープロパティ」です。
この2つは、HubSpot内でデータを素早く探し出す「インデックス検索」において、決定的な役割を果たします。
※インデックス検索の例)セカンダリープロパティ【テストセカンダリ】の値をインデックスバーから直接検索している。
レコード(データ1件)を特定するための「主キー(タイトル)」です。インデックス検索において最優先で参照されます。
プライマリープロパティのすぐ下に並んで表示される「補足の識別情報」です。
実際にカスタムオブジェクトを作成し、インデックス検索に強いプロパティを設定する手順を解説します。
※事前確認: カスタムオブジェクトの作成機能は、HubSpotのEnterpriseプラン、または特定の製品組み合わせでご利用いただけます。
作成前に、手元で以下の3つを決定しておきます。
HubSpotのカスタムオブジェクトは、自社独自のデータを管理するための非常に便利な枠組みです。導入を検討する際は、まずデータが「1対Nの関係にあるか」を確認しましょう。
そして、作成時には「インデックス検索での見やすさ」を意識して、プライマリープロパティとセカンダリープロパティを正しく設計することが成功のポイントです。
この設計ルールを押さえることで、データの乱雑化を防ぎ、現場のメンバーが迷わずスピーディーに活用できるデータベースを構築できます。