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組織変更に柔軟対応。HubSpotで「サステナブルな承認フロー」を構築

作成者: 髙山 博樹|Mar 29, 2026 5:22:46 AM

組織が成長し、商談の規模が大きくなると、営業現場には「多段承認」の壁が立ちはだかります。「課長、部長、そして法務」といった複数のチェックが必要な一方で、人の異動や役職の変更は頻繁に起こります。

また、内部監査を重視する上場企業などでは、RCMやJSOXへの対応などが求められます。

本記事では、HubSpotの標準機能の枠を超え、メンテナンス性を維持し続ける「サステナブルな承認フロー」の具体的な構築方法を解説します。

現場の課題:運用の「硬直化」と標準機能の限界

多くのHubSpotユーザーが、以下のような承認業務の壁に突き当たっています。

  • 標準機能の回数制限: HubSpot標準の承認機能は、1つのパイプラインにつき1回しか設定できず、複数のステージにまたがる承認には不向き。
  • 多段承認へのハードル: 「Aさんの次にBさんの承認が必要」といった連鎖的なフローを組もうとすると、ワークフローが複雑怪奇になりがち。
  • メンテナンスの行き止まり: 承認者の異動や退職のたびに、何十ものワークフローを一つひとつ開いて修正しなければならず、運用が持続しない(サステナブルではない)。

これらを解決するには、ワークフロー内に特定の個人名を直接書き込む(ハードコーディングする)運用から脱却する必要があります。

実現イメージ:マスタデータが承認を動かす「外付けエンジン」

それでは具体的な方法を解説していきます。動画もぜひご覧ください。

今回提案する解決策は、取引(ディール)そのものを動かすのではなく、承認専用の「カスタムオブジェクト」を司令塔にする手法です。

  1. 分離: 承認が必要になったら、取引に関連付いた「承認レコード」を発行。
  2. 参照: 承認レコードが、あらかじめ用意した「承認フローマスタ(どの部署・ステージなら誰が承認するかを定義したデータ)」を読みに行く。
  3. 自走: マスタに記された順番通りに、自動で承認者が切り替わる。

組織変更があった際は、ワークフローを一切触らずに、マスタレコードを1箇所更新するだけで、すべての承認フローが最新の状態に反映されます。

設定方法:5つのステップによる仕組みづくり

1. 準備:オブジェクトとプロパティの定義

  • 承認オブジェクト: 承認履歴を管理するカスタムオブジェクト。
  • 承認フローマスタ: 承認ルートを定義するレコード。「条件(ステージなど)」「承認順序」「承認者」を保持させます。
  • 取引側のトリガー: 「承認依頼(チェックボックス)」などのプロパティを用意。

2. 承認レコードの自動生成

取引ステージが特定の位置に達し、承認依頼がオンになったらワークフローを起動。

  • 取引の「現在のステージ」「担当者」などの情報をコピーした状態で、新しい「承認レコード」を作成します。

3. マスタレコードとの自動紐付け

承認レコード側の情報を基に、該当する「承認フローマスタ」を検索し、自動的に関連付けを行います。マスタに定義された「1番目の承認者」を、承認レコードの担当者に割り当てます。

4. 承認アクションとループ処理

承認者に通知を飛ばし、レコード上で「承認」または「差し戻し」を選択してもらいます。

  • 承認された場合: マスタの次順(例:順序2)の承認者を呼び出し、担当者を上書き。
  • 次順がいない場合: フロー完了と判定します。

5. 取引レコードへの結果同期

承認レコードの最終ステータス(承認済み・否認)を、元の取引レコードのプロパティへ自動的に書き戻します。

導入の効果:長期的な運用安定

この仕組みの構築には、カスタムオブジェクトの設計やワークフローの作り込みなど、相応の初期工数がかかります。しかし、一度完成してしまえば、その後の管理コストは劇的に下がります。

  • 属人化の排除: 誰が承認すべきかはマスタが知っているため、設定ミスが起こりません。
  • メンテナンスの簡略化: 承認者の追加・変更は「レコードの更新」で完結します。
  • プロセスの可視化: 承認の履歴が別オブジェクトに蓄積されるため、監査やプロセス改善に役立ちます。

まさに、組織の拡大や変化に柔軟に対応できる、文字通りのサステナブルな承認フローが実現します。