HubSpotのワークフローに備わっている「データを書式設定」アクションは、CRMデータ(対象プロパティー)を整形・変換・計算するための機能です。
たとえば、
「コンタクト名の先頭だけ大文字に統一」
「数値プロパティーを使って別の数値を計算」
「日付の表示形式を変更」
といった処理を自動で行うことができます。
ここで押さえておきたいポイントは、このアクション自体は計算や整形のみを行うという点です。
その結果を実際のプロパティーに反映させるためには、続けて「レコードを編集」アクション、あるいは「Googleスプレッドシートの行を作成」などのアクションを出力として後続設定する必要があります。
アクションをうまく組み合わせることで正確なデータ管理が実現します。
ワークフローにおける「データを書式設定」アクションを利用できる製品は Data Hub のみとなっています。
具体的には、以下のプランでご利用いただけます。
Data Hub Professional
Data Hub Enterprise
Marketing HubやSales Hubなど、他の製品単体のご契約ではこのアクションを作成・利用することはできませんのでご注意ください。
HubSpotには、複雑な知識がなくても活用できるデフォルトのオプションが多数用意されています。
書式設定したいプロパティーを選択したのち、その対象プロパティーに対する形式を選択します。
以下は、2026年7月末時点で用意されているデフォルトオプションです。
▼デフォルトオプションの一覧
| 形式(オプション名) | 意味・活用例 |
| 1文字以上を切り取る | 郵便番号やIDなどのデータから、指定した特定の文字列を削除します。 (例)02145の先頭の「02」を切り取り145のみにするなど |
| HTMLタグを削除 | HTMLタグが混在している値からタグ部分だけを取り除き、プレーンでクリーンなテキストデータに変換します。 |
| Unixタイムスタンプに変換 | 日付データをUNIXタイムに変換します。主に他のシステムや外部ツールと連携する際のデータ形式として利用します。 |
| エスケープとURLエンコード | テキスト(例:「hello world」)をURLクエリで安全に使用できる形式(例:「hello%20world」など)に変換します。 |
| タイトルケースに変更 | コンタクトの名や会社名などのテキストに対して、単語の先頭を大文字にするなど表記ゆれを自動で補正します。 |
| 時間を加算 | 基準となる日付や日時のプロパティーに対して、指定した時間を足して「○日後」などを計算します。 |
| 時間を減算 | 日付や日時のプロパティーから指定した時間を引き、「○日前」を計算します。リマインダー用の日付設定などに役立ちます。 |
| 数値が割り切れるかを評価 | 対象の数値が特定の値で割り切れるかどうかを判定します。判定結果(trueまたはfalse)は、後続の分岐処理などに活用できます。 |
| 数値の絶対値を求める | 既存の数値プロパティーから、マイナスを外した絶対値を自動計算して算出します。 |
| 数値の平方根を計算 | 既存の数値プロパティーを用いて、その値の平方根を自動で計算します。 |
| 数値を加算 | 既存の数値に別の数値を足し合わせ、新しい派生指標などを自動計算します。 |
| 数値を除算 | 既存の数値を別の数値で割り、必要な指標を算出します。 |
| 数値を乗算 | 既存の数値に別の数値を掛け合わせます。コミッションの計算などに応用可能です。 |
| 数値を端数処理 | 指定した数値の小数点以下などを丸めて、扱いやすい数値データに整えます。 |
| 先頭と末尾の空白を切り取る | フォーム入力時などに混入しやすい余計なスペース(空白)を削除します。重複判定やフィルターの精度向上に直結します。 |
| 先頭の文字を大文字にする | テキストデータの最初の1文字のみを大文字に変換し、顧客データなどの見た目を美しく揃えます。 |
| 全ての文字を小文字に変更 | 対象のテキストデータをすべて小文字に統一し、表記ゆれを防ぎます。 |
| 全ての文字を大文字に変更 | 対象のテキストデータをすべて大文字に変換して統一します。 |
| 日時を書式設定 | 日付プロパティーを任意のフォーマット(short、medium、long、fullなど)に変換し、タイムゾーンやロケールに合わせて整形します。 |
| 文字を置換 | 「-」や「(0)」などの特定の文字列を、指定した別の文字列に一括で置き換えます。置換回数の指定も可能です。 |
顧客データの表記ゆれは、データ分析やセグメント配信の妨げになります。
営業活動やマーケティング施策に直結する数値・日付データの自動計算も可能です。
特定のシステム要件に合わせたデータ形式への変換もスムーズです。
カスタム式モードをオンに設定すると、より柔軟な式を記述して複雑な処理を行うことができます。以下はヘルプにも記載されている代表的なユースケースです。
データ入力を揃え、営業管理の計算を自動化する活用例です。
データ分析やセグメント作成の精度を高めるための活用例です。
HubSpotでは、上記以外にも多彩な関数を利用できます。
-対象プロパティー:任意のテキストプロパティーや日時プロパティーなど
-形式:
・upper(), lower(), title(), trim()
・format_datetime(), plus_time(), minus_time(), unixtimestamp()
・replace(), regex_replace(), striptags(), urlencode()
-目的:文字の大文字・小文字・トリム処理や、日時の自在な変換、文字列クリーニングや正規表現による置換など、自社の要件に合わせた柔軟なデータクレンジングを実行するため
実際に「データを書式設定」を使用する際の手順をご説明します。
「データを書式設定」を使うべきか、類似アクションや機能をつかうべきか?と悩むケースがあります。
以下はいくつかの例です。
自社の設定で、どちらの機能を利用すべきかを検討する際に参考にしてください。
※例えば、「電話番号の専門家」がキレイに整えた電話番号を、「そのまま運ぶ配達員」が別のリストに書き写す、といった連携プレイも可能です。
| 機能名 (例えるなら…) |
特徴 | 実行タイミング | 得意な処理内容 | こんな時におすすめ |
| データを書式設定 (決められたルールで動く真面目なロボット) |
ルール通りに文字や数値を整える |
ワークフロー実行時 | ・文字列整形 ・関数を用いた計算 ・日時フォーマット変換 |
・フォーム入力値の空白削除したい ・営業コミッションの自動計算したい |
| 電話番号を検証し、形式を整える (電話番号の専門家) |
電話番号だけを専門に直す | ワークフロー実行時 | ・電話番号の有効性検証 ・国番号を含めたフォーマット整形 |
・顧客電話番号の国コード統一したい ・発信システムの連携前処理したい |
| 計算プロパティー (常に計算し続ける自動計算機) |
いつでも自動で計算して表示する | リアルタイム(常時) | ・数値の加減乗除 ・日付間の期間計算 |
・合計請求額の算出したい ・初回接触からの経過日数の自動保持したい |
| AI・Breezeデータ処理 (空気を読んでまとめる賢い助手) |
文章を読んで賢くまとめる | ワークフロー実行時 | ・自由記述テキストの要約 ・複雑な表記ゆれ補正 |
・問い合わせ内容の要約や保存したい ・フリーテキストからの項目抽出したい |
| プロパティー値をコピー (そのまま運ぶ配達員) |
加工せずにそのまま運ぶ | ワークフロー実行時 | ・データをそのまま別のプロパティーへ複製 | ・会社プロパティーの住所情報をコンタクトプロパティー同期したい |
ワークフロー内で使用できる、電話番号の処理に特化した専用アクションです。
概要:
入力された電話番号が有効な形式かを検証し、国際標準や統一フォーマットへ整えます。
「データを書式設定」との違い:
「データを書式設定」でも文字列置換などのカスタム式でハイフンを削除することは可能です。しかし、国番号の付与や電話番号としての正確な検証を行う場合は、この専用アクションを活用する方が確実です。
プロパティーの設定画面上で、複数のプロパティー数値を自動計算する機能です。
概要:
加算、減算、乗算、除算のほか、2つの日付の期間計算などを常時自動で行います。
「データを書式設定」との違い:
「データを書式設定」はワークフローが稼働したタイミングで処理を実行します。一方、計算プロパティーはプロパティー自体の設定として機能するため、ワークフローを作成せずに常時リアルタイムで計算結果を保持できます。単純な数値計算や期間算出であれば計算プロパティーが適しています。
ワークフロー内でAIを活用し、非定型なデータを整形・抽出する最新アクション群です。
概要:
「データエージェント: カスタム プロンプト」や「レコードの要約」などを使い、複雑な文章からの情報抽出や表記統一を行います。
「データを書式設定」との違い:
「データを書式設定」は明確なルール(大文字化、四捨五入、文字列置換など)に基づいて処理します。対してAI機能は、ルール化が難しいテキストデータや自由記述の表記統一、要約処理などに適しています。
ワークフロー内で、あるプロパティーの値を別のプロパティーへ複製・移送する機能です。
概要:
コンタクトの情報を取引や会社プロパティーへ同期させる際などに使用します。
「データを書式設定」との違い:
値を加工・変換せず、そのまま別の場所に保存・引き継ぎたい場合に適したシンプルなアクションです。
カスタム式を用いたワークフローを適切に設計すれば、CRMデータの保守や計算に関わる膨大な手作業を削減し、マーケティングや営業活動の質を飛躍的に高めることが可能です。
しかし、独自の関数や正規表現を用いた設定には専門知識が求められるため、自社内だけでの構築が難しいケースも少なくありません。
自社の要件に合わせた高度な自動化を実現し、事業成長を加速させたいとお考えの方は、ぜひ一度ナウビレッジへご相談ください。