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「そのプロパティ、消しても大丈夫?」HubSpotの設定変更で後悔しないための全知識

作成者: 勝間田 雄大|Oct 1, 2026, 8:34:28 AM

HubSpotの設計や運用を進める中で、「一度作成したプロパティやパイプラインは、後から自由に変更できるのか?」という疑問や不安を抱く方は少なくありません。

本記事では、HubSpotにおける「カスタムオブジェクト」「プロパティ」「パイプライン」について、作成後に変更できること・できないことの一覧と、設定変更がレポートや自動化(ワークフロー)に与える影響をわかりやすく解説します。

 

1. 現場でよくあるお悩みと目指すべき運用状態

よくある課題・悩み

HubSpotを導入してしばらく経つと、業務プロセスの変化に伴い「登録項目の名前や選択肢を整理したい」という要望が出てきます。
しかし、十分な確認をせずに設定を変更してしまうと、次のようなトラブルが発生することがあります。

  • 「プロパティの選択肢を削除したら、過去の集計レポートの数値が合わなくなった」
  • 「入力形式(テキスト型など)を途中で変更できず、新しく作り直す羽目になった」
  • 「パイプラインのステージを消したことで、稼働中だった自動化ワークフローが停止してしまった」

設定の仕様を理解することで得られる変化

「後から変更できること」と「仕様上変更できないこと(作り直しが必要なこと)」をあらかじめ把握しておけば、無駄な手戻りやシステムエラーを防ぐことができます。
適切なデータ設計を行うことで、データの信頼性を保ちながら、業務の変化に柔軟に対応できる持続可能なCRM運用が実現します。

2. 各機能の概要と「作成後の変更可否」一覧表

HubSpotの主要な設定要素であるカスタムオブジェクト(自社独自のデータ管理枠)、プロパティ(個々のデータ項目)、パイプライン(案件や対応の進捗工程)について、作成後の変更可否を下記一覧表にまとめました。
※UI(画面上)の表現として、「オブジェクトタイプ」はプロパティが属するデータ種別(コンタクトや取引など)を指し、「グループ」は設定画面でのフォルダ分類を指します。

作成後の変更可否一覧

分類 設定項目 具体的な行動
(変更内容)
変更可否 主な制限事項・ポイント
カスタムオブジェクト 表示名・説明 表示ラベル / 説明文の変更 可  画面上の名称が変わるのみで、システムエラーは発生しません。
内部名 Object Type IDの変更 不可 作成時に決定した識別用IDは後から変更できません。
プライマリプロパティ 表示ラベルの変更 可 メインで表示される項目の名前を変更できます。
内部名・フィールドタイプの変更 不可 識別名やデータ型は変更できません。
関連付け 他オブジェクトとの関連付け追加 可 会社や取引など、他のデータとの紐付けルールを追加できます。
関連付けの削除 要注意 画面上の項目名が変わります。内部IDは共通のため安全です。
プロパティ 表示情報 プロパティラベルの変更 可 画面上の項目名が変わります。内部IDは共通のため安全です。
グループの変更 可 管理画面上の所属フォルダ(グループ)を移動できます。
選択肢 選択肢の追加 可 新しい選択肢を追加してすぐに入力で使用できます。
選択肢の削除 要注意 削除された選択肢を持つ過去データが集計漏れを起こします。
選択肢の名称変更 要注意 過去データの表示名も新名称に一括更新されます。
構造 オブジェクトタイプの変更 不可 コンタクト用プロパティを取引用へ移動させることはできません。
内部名(Internal Name)の変更 不可 システム識別用の英語名は後から変更できません。
フィールドタイプ(データ型)の変更 不可 「テキスト型からドロップダウン型」などの型変更はできません。
パイプライン 基本情報 パイプライン名・並び順の変更 可 表示順や名称を業務に合わせて自由に変更できます。
ステージ構成 ステージの追加・並び替え 可 新しい進捗フェーズを追加したり、順番を入れ替えられます。
ステージの削除 要注意 過去の滞在時間データや分析の連続性が損なわれます。
成約確度(%)の変更 要注意 過去の売上予測レポートの計算数値が変動する場合があります。
構造 内部パイプラインIDの変更 不可 システム用のIDは固定されます。
対象オブジェクトの変更 不可 取引用パイプラインをカスタマーサポート用へ変更はできません。

3. レポートと自動化(ワークフロー)への具体策と影響

設定変更を行った際、あるいは変更できずに「作り直し」が発生した際に、レポートやワークフローへどのような影響が出るかを具体的に解説します。

① レポート(集計・分析)への影響

  • 選択肢の削除・名称変更を行った場合

    ドロップダウンなどの選択肢を削除すると、その選択肢が登録されていた過去のレコードが「値なし(No value)」として扱われるようになります。その結果、円グラフや集計レポートでデータが抜け落ち、正確な割合が把握できなくなります。

  • パイプラインのステージ削除・成約確度(%)変更を行った場合
    ステージを削除すると、過去にそのステージを通過した案件の「滞在時間」や「遷移率(コンバージョン率)」のデータ履歴が断ち切られます。また、成約確度の%を変更すると、過去の「売上見込み(フォーキャスト)レポート」の金額が遡って再計算され、当時の実績記録と不整合が生じる可能性があります。

  • フィールドタイプ(データ型)の変更不可に伴う影響
    例えば「単行テキスト」で運用していた項目を「レポートで集計しやすくするためにドロップダウン型にしたい」と考えた場合、直接の型変更はできません。新プロパティを作成してデータを一括で移行する必要がありますが、その際「いつ、誰が、どの値に変更したか」という変更履歴レポートは新プロパティへ引き継げない点に注意が必要です。


② ワークフロー(自動化)への影響

  • プロパティの選択肢を削除した場合
    「ステータスが〇〇になったら通知メールを送る」といった分岐条件や起動トリガーに削除した選択肢が含まれていると、ワークフローの条件判定が行えず、自動化処理が不具合を起こすか停止します。

  • 関連付けやパイプラインステージを削除した場合
    削除するステージや関連付けオブジェクトを起動条件にしているワークフローが存在する場合、エラーが発生します。※HubSpotの画面上では、ステージ削除時に既存レコードの「移行先ステージ」の選択を求められますが、ワークフロー側の設定条件は手動で修正する必要があります。

  • フィールドタイプ変更に伴う「プロパティの作り直し」が発生した場合
    新プロパティを作成して運用を切り替える場合、旧プロパティを参照しているすべてのワークフロー(トリガー、条件分岐、データコピー設定など)を探し出し、手動で新プロパティへ差し替える作業が発生します。

4. 失敗を防ぐための設定変更・データ移行 3ステップ

設定変更や構造の作り直しが必要になった場合は、以下の手順に沿って作業を進めることでリスクを最小限に抑えられます。

Step 1:影響範囲の事前調査

変更や削除を行う前に、該当のプロパティやステージが「現在どのワークフローやレポートで使われているか」をHubSpot上で確認します。
プロパティの詳細画面から「使用されている項目(ワークフローやリスト)」の一覧を確認できるため、事前に使用箇所を特定しておきます。

Step 2:安全な変更・移行作業の実施

データ型を変更したい場合は、以下の手順で安全に移行します。

  1. 目的のデータ型で「新しいプロパティ」を作成する

  2. 対象オブジェクトのデータを全件エクスポートする

  3. エクスポートしたファイルの旧プロパティの値を、新プロパティ用の列にコピーしてインポート(一括更新)する

Step 3:旧設定の非推奨化と差し替え

データの移行が完了したら、該当プロパティを使用しているワークフローやレポートの参照先を新プロパティへ順次変更します。
旧プロパティはすぐに削除せず、名前の頭に「【非推奨】」と付けるか、フォームや検索結果画面で非表示に設定して、誤入力を防ぐ運用期間を設けることを推奨します。

5. まとめ

HubSpotでは、画面上の表示名やグループ位置、選択肢の追加などは後から柔軟に変更できます。
一方で、データ型(フィールドタイプ)、内部名(API名)、オブジェクトタイプなどは作成後に変更できません。

安易な設定削除や変更は、過去のレポート数値の不整合や自動化処理の不具合につながる可能性があります。
設定変更を行う際は、事前に影響範囲を確認し、型変更が必要な場合は「新規作成と安全な移行手続き」を踏むことが、CRM運用を健全に保つ鍵となります。