Deep Knowledge(DeepThrive)

脱・手入力。HubSpot AIでPDFの内容をプロパティへ自動反映させる仕組み

作成者: 髙山 博樹|Feb 13, 2026 4:20:04 AM

ビジネスの現場では、見積書や注文書、クライアントからの提出資料など、多くの情報が「PDF」という形式でやり取りされています。これらを有益なデータとして活用しようとする際、避けて通れないのが「CRMへの転記」という作業です。

本記事では、HubSpotのAI機能を組み合わせ、PDFをアップロードするだけで必要な情報を各プロパティへ自動転記する方法を解説します。

現場の課題:二重作業と生産性の低下

CRMのデータを最新に保とうとすればするほど、現場では以下のような業務負担が重くのしかかります。

  • プラットフォーム間の二重入力: 外部の見積作成ツールで作った内容を、分析や管理のために再度CRMに打ち込み直している。
  • 低生産な転記作業: クライアントから送られてきたPDFを開き、社名、金額、納期などを一つひとつコピー&ペーストしている。
  • データの鮮度低下: 手作業による負担が大きいため、入力が後回しになり、最新の売上状況がリアルタイムに反映されない。

これらの「人間が介在しなくてもよい作業」をAIに任せることで、本来向き合うべき顧客対応や戦略立案に時間を割くことが可能になります。

実現イメージ:PDFを保存するだけで、項目が自動で埋まる

この仕組みを導入すると、担当者が行う作業は「ファイルプロパティにPDFを保存する」ことだけになります。

  1. 保存: PDFファイルをHubSpotの専用項目にアップロードします。
  2. 抽出: HubSpotのAIが、格納されたPDFのテキスト情報を丸ごと読み取ります。
  3. 分解・格納: データエージェントが「どの数値が金額で、どの項目が納期か」を判断し、それぞれのプロパティへ正確に流し込みます。

設定方法:AIとワークフローを連携させる4ステップ

HubSpotの「Breeze(AI)」とワークフローを組み合わせることで、以下の手順で実装可能です。

1. ファイルプロパティの作成

まずは、PDFを格納するための「ファイル」形式のカスタムプロパティ(例:最新見積書)を作成します。ここにファイルが追加されることが、すべての自動化の起点になります。

2. スマートプロパティによる内容抽出

HubSpotのAI機能(スマートプロパティ)を設定し、格納されたPDFの内容を抽出するように定義します。

  • 抽出された全テキスト情報を一旦格納するための、複数テキストのカスタムプロパティを用意しておきます。
  • スマートプロパティの実行は自動化しておくと便利です。

3. ワークフローのトリガー設定

「ステップ2で用意したテキストプロパティが更新されたとき」をトリガーに、ワークフローを起動させます。

4. データエージェントのカスタムプロンプト活用

ワークフロー内のアクションで「データエージェント」を呼び出します。ここでカスタムプロンプトを使用し、AIに以下のように指示を出します。

プロンプト例:「入力されたテキスト情報から、〇〇を抽出してください。」

このとき、画像のように抽出するデータを「アクション出力の入力値」として定義しておく必要があります。

そして、このエージェントの出力結果を、最終的な各プロパティ(合計金額発行日など)にコピーする設定を行えば完了です。

導入による時間短縮効果のシミュレーション

PDFの情報を手作業で転記する作業が、自動化によってどの程度削減されるかを試算しました。

項目 仮定する数値
月間の対象PDF処理数(見積・注文書など) 100 件
人間による手動転記・確認時間(1件あたり) 10 分
AI導入後の作業時間(確認のみ) 1 分
担当者の時給換算コスト 2,500 円

 

削減効果の計算

  • 月間の削減時間:月間の削減時間:
    (10分 - 1分)× 100件 = 900分 → 15時間 / 月

  • 年間のコスト削減額:
    15時間 × 2,500 円 × 12ヶ月 = 450,000円 / 年

年間で約45万円分に相当するリソースが解放されます。数十人、数百人で実施していたら恐ろしいですね。

なお、1件のPDF処理に対して20クレジットを消費するので、月間100件処理したら2,000クレジット消費します。
1クレジット1.2円程度なので、2,200円/月のコストが発生します。それでも手作業よりは圧倒的にコスト削減になります。

これは単なるコスト削減だけでなく、繁忙期における業務の停滞を防ぐ大きな要因となりますので、本記事をお役立ていただければ幸いです。